
東京大学 農学部木質材料学研究室・木質構造学研究室、東京大学 工学部建築学科 前真之研究室 &国立研究開発法人 建築研究所 視察研修
今回はつくば市にある国立研究開発法人 建築研究所 視察研修についてお伝えいたします。
国立研究開発法人建築研究所は、国土交通大臣から示された中期目標に基づき、公正・中立の立場で、所内の高度な実験施設を活用し、住宅・建築・都市計画技術に関する研究開発、地震工学に関する研修等を総合的に、組織的、継続的に実施する機関です。
研究開発の成果は、国が実施する関連行政施策の立案や技術基準の策定等に反映され、それらが民間の技術開発や設計・施工の現場で活用されることにより、国民の安全の確保、健康で快適な居住空間の実現、省エネルギーや環境への配慮等持続可能性の確保、消費者への安心の提供など、我が国の住宅・建築・都市の質の確保・向上に貢献されています。

視察研修のタイムテーブルです。本日は理事長の東京大学名誉教授 工学博士 坂本雄三先生が直接お話しくださいました。


国立研究開発法人建築研究所の研究開発の説明です。

実物実験棟の説明です。

LCCM 住宅(Life Cycle Carbon Minus:ライフサイクルカーボンマイナス住宅)の説明です。LCCM住宅とは、住宅の長い寿命の中で、建設時、運用時、廃棄時においてできるだけの省CO2 に取り組み、かつさらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2 排出量も含め生涯でのCO2収支をマイナスにする住宅として提案されたものです。


先導的な木造建築技術を導入した実験棟の建設です。この実験棟はCLT3階建て実験棟です。

CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法となります。CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼びます。平成25年12月20日に日本農林規格(JAS)として、直交集成板の名称により制定され、平成26年1月19日に施行されました。
一般的によく知られている集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向に張り合わせるのに対して、CLTは、繊維方向が直交するように交互に張り合わせていきます。
CLTの特性は、直交積層のため高い寸法安定性が得られます。90~210mm程度の厚みが一般的で、断熱性に優れ、大判のパネルとして利用することで、高い耐震性を確保することが出来ます(欧州では、幅:3m×長さ:16m程度のサイズで製造されています)。また、板の幅や厚み、強度が集成材に対し幅広く活用できるというメリットもあります。
我が国においては、国産のスギでも、十分な強度を有するCLTパネルを製作できます。さらに、スギは比重が軽く断熱性能が高いことから、CLTに適しているとも考えられ、森林資源が豊富な国産スギの需要拡大の一つとして期待されています。


国内初2×4木造6階建て実験棟です。


2×4木造構造で6階建て構造物はどのような変形、振動など、たくさんのセンサーがとりつけられています。


「LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅に関する技術の開発」という項目を掲げて研究されている実験棟です。

建築研究所理事長 東京大学名誉教授 工学博士 坂本雄三先生です。坂本先生から直接説明やお話しをしていただけました。

坂本雄三先生です。



「LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅に関する説明ボードです

建築構造物の耐震安全性を、実大試験体を用いて実験的に解明するための施設で、内部に15m×20m及び20m×25mの2枚の反力床、高さ25mの反力壁及びこれに直交する高さ15.5mの反力壁を有しています。反力床上に設置できる最大規模の試験体は、床面積400m2、7階建の実大建物です。また、コンピュータ制御ができる多数のアクチュエータ(加力機)を有しており、これを反力壁に取付けて、実大試験体を加力することにより、地震時における建物の挙動を忠実に再現した耐震実験を実施することができるそうです。


構造複合実験棟です。構造関連の複合実験を目的とした実験棟で、地震を想定して損傷を加えた建築物の火災実験や、施工実験後の構造耐力実験などが効率よく実施できるよう、可動上屋を有することが特徴です。内部には幅9m、高さ10mの反力壁と、幅9m、長さ12mの反力床が設けられており、3層の実大構造物の加力試験が可能な実験設備です。

林野庁の依頼により、構造耐力実験が行われていました。



坂本先生、大変お忙しいところをとても丁寧にお話しくださいまして、ありがとうございました。
この学習できたことを、必ず、よりよい家づくりに活かしてまいります。
今回の東京大学 農学部木質材料学研究室・木質構造学研究室、東京大学 工学部建築学科 前真之研究室 &国立研究開発法人 建築研究所 視察研修については、これからも建て主様へお伝えしてまいります。