アウトドアリビング
プランニングの打ち合わせで、よくお話しをさせていただく事柄に、
「住宅周辺を演出する憩いの空間」というものがございます。
先の週末の建て主様との打ち合わせにも、このお話しが出ました。
本日は、その「住宅周辺を演出する憩いの空間」について、少し
お伝えさせていただきます。
1.木とアウトドアリビング
ヨーロッパ、北米の住宅にはステキでおしゃれなものが多いですが、
なぜそう感じ るのでしょうか。
住宅そのもののデサインや色彩が日本の住宅と異なるのが主な 原因ですが、そのほかにもひとつ大きな要素があります。
それはアウトドアリビングに自然素材、特に木が多く利用されているのです。
私たちは「日本は木の文化、西欧は石の文化」と思っていますが、現実には西欧の住宅の方が木を多く利用しています。
では、どんなものに木が利用されているのでしょうか。
隣地との境界に設置する フェンス、目隠しにする木塀や蔦や花のためのラチス、日よけのためのパーゴラ、 おしゃれなエントランス、照明ポール、ポスト、アプローチ、ガーデニグのための 土留めや木杭、植木鉢、その他小物などです。
そして一番木を使うのがウッドデ ッキです。
日本ではつい最近までこれらのものは、ほとんど木以外のものを利用 していました。
コンクリートやアルミ、プラスチック等の無機物質素材です。
10年位前からガーデニングブームやその他の要因から、アウトドアリビングに木を利用する機会が増え、特に急速に増えたのがウッドデッキです。

海外のアウトドアリビングのイメージとウッドデッキ
2.USJのロンバースデッキもウッドデッキ
最近では公園、学校、ウォーターフロントなどてもウッドデッキが見られます。
いま大阪で大変な人気のUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)にも 大きなウッドデッキがありますが、住宅用のウッドデッキと同じでしょうか。
専門業者では違うものとして認識しています。
簡単に言いますと住宅用は ウッドデッキ、不特定多数の人が利用する場所は「ボードウォーク」と 呼んで区別しています。利用する木の種類も異なりますし、木の厚みや作り方、耐久性能、価格などすべてが異なります。
では、濡れ縁との違いは何でしょうか。まずウッドデッキは面積が大きく、その上を歩け、素足で利用する場合と土足で利用する場合があり、利用する人次第です。
濡れ縁は和室と庭を結ぶものです。木の使い方では濡れ縁は 木を縦に利用しますが、ウッドデッキは横に利用します。
これが一番の違い です。
木の色や木目をそろえてあるものは、濡れ縁で、木の木目や色がわざと 変えてあるのがウッドデッキです。どちらが合理的な木の使い方かというと、 ウッドデッキの方が単位当たりの価格が安上がりになります。
またウッドデッキの木材自体はある程度の長さがあるものが、よりウッドデッキらしいものとなります。

ロンバースデッキ
10t車で20台分の木材を使用
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海外ではフローリング形式が主で、パネル形式は非常に少ない。 これは施工後、段差が出来やすいからで、一見施工しやすそうで実際は失敗する例が多い。プロでも施工が難しい。
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ウッドデッキがあれば何かいいことがあるのでしょうか。
もし庭がコンクリートや人工素材のままでしたら、ウッドデッキを設置することにより紫外線の室内への 反射を少なくすることが出来ます。
日本ではまだ紫外線の怖さが一般的に 認識されていませんが、今後重要な話になってくると思われます。
また同様のことですが、室内から庭を見ていて目に優しく感じます。
そして一番いいことはあらたな住居スペースが増えるということです。
このあらたなスペースは今までにない楽しみ方ができるのです。
では、どのように楽しめるのでしょうか。
雰囲気を変えた家族団らんや、友人 隣人との野外パーティ(バーベーキュー)などに利用できます。
四季折々の草花、樹木の移りなどの自然を身近で感じることができ、夜には思 いっきり星と空を共有することもできます。
これは心身に与える最高の贅沢です。
屋外は雨風紫外線や湿気があり、木にとっての条件は最悪で最終的には必ず腐ります。
腐らない木というのは存在しません。木の種類、(木とプラスチックが混ざった人工木材も む)によって、その耐久性は大幅に変わります。また防腐処理をすることによっても大きく変わります。
そして、ウッドデッキの作り方やユーザーのメンテナンスによっても大きく変わるのです。
日本の木造建築で何百年ともっているものもありますね。
これらは先人のノウハウの結晶なのです。
次回はアウトドアリビングには、どんな木がいいのか、
などについて、お伝えいたします。