ウイリアム・モリス、インテリアやデザインに少しでも興味のある人、家づくりを進めていらっしゃる人で、その名を知らない人はいないと思います。
イギリスのヴィクトリア朝末期に生まれ、インテリア、特に壁紙やインテリアファブリックスの内装デザインで活躍した人物です。

今回、そのウイリアム・モリスと彼がデザインした壁紙などを、英国有数の壁紙会社サンダーソン社が所蔵する貴重な壁紙や版木など約130点を日本で初めて紹介する展示会が、名古屋の松坂屋美術館で開催されています。
これは家づくりにたずさわる者としては、拝見しなければいけないと感じ、早速、拝観してきました。

彼の時代、イギリスの産業革命の成果により工場で大量生産された商品があふれるようになり、反面、手仕事の美しさも失われてしまいました。
ウイリアム・モリスは時間をかけた丁寧な手仕事を愛し、自然の美を讃えた生き生きとしたデザインを生み出しました 。

中世の手仕事に帰り、 生活と芸術を一致させようとするモリスのデザイン思想と、その実践アーツ・アンド・クラフツ運動は各国に大きな影響を与え、20世紀のモダンデザインの源流にもなったといわれています。

ウイリアム・モリスは結婚を機に新居となるレッド・ハウスを建設した時、自信の目指す快適空間には家具や壁紙が欠かせないものだと気づき、木版による美しい壁紙を生み出しました。壁紙一杯に優雅に広がる草花は、100年以上経った今でも日知人を魅了する居心地のよい空間を演出しています。


結婚を機に新居となるレッド・ハウスを建設

工場で大量生産された商品があふれ、反面、 時間をかけた丁寧な 手仕事の美しさも失われてしまいましたというのは、現代の住宅産業界にもあてはまるように思えてなりません。
時間をかけた丁寧な手仕事を愛し、自然の美を讃えた生き生きとしたデザイン、そしてそれは、自然にそむいてはどんなものも美しくならないということ。
家づくりには、とても大切なものと、考えています。

彼の言葉、「役に立たないものや、美しいとは思わないものを家に置いてはならない」は、持たない暮らしを愛する人々は必ずと言っていいほど引用する名言です。
また、シンプルさは洗練の土台です。
幸福の秘密は日常生活の細部に関心を持つことです。
と言っています。私も、そんな暮らし、住まい方に、とっても憧れます。